量産ライン立上げを
うまく実行するためのポイント

 量産ライン立上げを上手く実行するための3つのポイントについて解説します。

01各メーカとの日程調整を綿密に行う

 量産ラインを複数のメーカが協力して作り上げることは少なくありません。量産ラインを立上げる全体計画においては、各社が円滑安全に工事できる日程を決めなければいけません。作業の見通しが立ちにくいことが予想される場合は、バッファを設けた日程計画を立てることが必要です。
 また、定期連絡、不測の事態の連絡がスムーズに行えるよう、各社の連絡先や日程計画がまとまった管理表のようなものがあると役に立ちます。

日程計画を作成する上で考慮したい項目

  • 工場側の日程:既存の製品製造に支障をきたさないことが優先される
  • 安全を最優先:工事リスクアセスメントを実施し、事前にリスクを回避する
  • 工場付帯設備:クレーンやリフトなどを使う工事・作業が重ならないようにする
  • 無負荷運転(DRY RUN)の実施:設備を運転し挙動や耐久を確認する
  • 量産試作:各工程で目標とする品質や生産性が得られるかを確認する
  • 作業訓練:作業者に安定して製造できる技量を習得させる

日程調整表の例

02既存製品の生産に影響を与えずに、
既存ラインの改造を行う

 既存ラインの改造によって新製品の生産に対応する場合に一番気を付けなければいけないことは、「既存製品の生産に影響を与えない」ことです。平日の日中は既存製品の生産が行われているため、改造を行える時間は「土日のみ」という状況は多くあります。

 改造当日にスムーズな作業が行えるよう、事前の現場調査や作業シミュレーションをしっかり行うことが大切です。現地でしかできない事、事前に準備できること(例として、取り替える治具をモジュールとして組んでおき、当日はその治具を取り付けるだけの設計にしておく等)を考え、対策しておきましょう。事前検討に使用していたデジタルデータと現物が違うことも考えられますので、現場調査は重要です。
 また、作業当日は、既存製品の生産計画に支障が出ないことが前提の中では、想定していなかったトラブルが発生することもあり、時には元に戻す判断が必要になることもあります。

03海外でのライン立上げ時は、現地事情を踏まえる

 海外ライン立上げ時は、ラインを使用する作業者や設備を保全する保全者、その製品・製造に関する国のルールなど、国内製造とは異なる要素が多分に含まれます。

現地の技術標準・規格

 まず第一に確認しておくことは、製造を行う国や現地事業体のルールです。日本とは異なる品質管理基準がある場合もあります。
 また現地の工場で運用している技術標準があり、それに従うことが最良の製造方法となる場合もあります。手戻りにならないよう、事前に確認しておくことが必要です。

作業者の安全性、作業性

 「安全性担保」「作業性担保」も大切です。国ごと・工場ごとに安全基準や人の特性が異なることを理解していないと、量産ラインを立ち上げることができず、手戻りが発生してしまいます。現地の方(作業者、保全作業者、安全管理者)と、一緒に現物を確認しあうことができれば安心です。同等の量産ラインが既に日本で立ち上がっている場合は、日本に来てもらってでも確認すべきです。後から問題にならないよう、事前に現地の方と合意しておくことが大切です。

量産ラインの維持管理

 量産ラインを構築し、作業環境を整えた後のトラブル対応や日常点検・保全作業についても考えておきましょう。まず現地の方が対応できるよう、現地語で記載された手順書・保全書を設置しておく必要がありますし、その手順書・保全書で解決できない場合は、リモートで指示・支援できる環境を整えておくとよいでしょう。
 日本人の技術者がライン立上げ完了に伴い手を離した後でも、現地の方がオペレーションしていける生産ラインが、「良い量産ライン」と言えるでしょう。

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タマディックの量産ライン立上げにおけるサービス提供例

  • 量産ラインの
    デジタルシミュレーション
  • 海外量産ラインの
    デジタル検証~設備立上げ
    を一気通貫で支援
  • 既存ラインの改造
    (サブアッシー単位での一括請負)

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