INDEX
Ⅰ生産企画を絵に描いた餅に
させないための組織づくり
スケジュールや検討項目に非の打ちどころのない生産企画を立てても、実行できなければ意味がありません。生産企画を実現させるための1つの方法として、「CE活動の推進」があります。
01CE活動とは
CEは、Concurrent Engineering(コンカレントエンジニアリング)の略です。製品開発における複数のプロセスを同時並行で進めるという意味です。
02CE活動でどんなメリットが得られるのか?
CE活動で得られるメリットは大きく分類して2つになります。
製品立ち上げ期間短縮 | 図面作成や試作を同時並行で行うため、「手戻り」が無くなります。開発スピードは顧客満足度に大きく影響するため、是非自社のレベルアップに努めましょう。 | |
---|---|---|
モノづくりの革新 | CE活動で生産技術・製造部門が製品設計部門に働きかけることで製品がより良くなります。製品技術×生産技術×製造技術が組み合わさった共同技術開発が可能となるからです。QCDのレベルアップも期待できます。 |
CE活動により、製品設計や生産プロセスの設計における、課題発見や問題解決を「早期」に「全社」で行うことができます。
03CE活動の推進方法
CE活動の推進方法としては、「生産技術部門が音頭を取り、開発・製造部門に働きかける事」が第一歩目です。「何」を「どのように」作るのかを検討する生産技術部門には、広い知識と全体スケジュール管理能力が備わっています。全体最適の視点を持ち、製品や生産プロセス、製造方法のあるべき姿を設定し、全社を巻き込みましょう。
具体的な推進方法としては、大部屋活動(○○活動推進室)のような、活動に関わる方が一同に会せる場所を用意することが有効です。定期的な集まりの場所に使用できることはもちろん、いつでも誰とでも話し合うことが可能で、気軽にコミュニケーションをとれることが最大の設置目的です。一体感の創出にも期待できます。
04CE活動に必要なスキル
決断する力 & 決断させる力
CE活動では、他部署が混ざって活動する為、一つの課題に対して会社としてどのような解決方法をとっていくのかを決める場面が多くあります。音頭とり役である生産技術部門が、コストやリスク、社内外の事情を踏まえて決断する(もしくは決断するための情報を取りまとめる)必要があります。
事例
設計要求に対し、既存設備では対応できない課題をCEで解決
設計要求で出された穴あけのピッチについて、既存の設備では精度が不足し、対応できないものだった。そこで、生産技術部門、製品開発部門、製造部門の3者で解決策について協議を行った。
担当部署 /解決方法 |
設備投資 | 物流 投資 |
スペース 対応投資 |
TOTAL 投資 |
設備準備 LT |
実 現 性 |
部品原価 | 製品 原価 |
判 定 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
生産技術 【溶接設備工程追加】 穴あけ機精度向上での解決 |
+1,200万円 工程が 増えるから |
±0円 | ±0円 | +1,200万円 | 4ヵ月 | △ | ±0円 | +34円/台 | △ |
生産技術 製造 【プレス工程で追加作業】 穴あけ対応での解決 |
+100万円 | +1,000万円 種類が 増えるから |
+700万円 | +1,800万円 | 1ヵ月 | ○ | ±0円 | +50円/台 | × |
開発 【製品設計変更での対応】 部品分割での解決 |
+500万円 | +100万円 | +100万円 | +700万円 | 3ヵ月 製品開発期間 がかかる |
○ | +10円/台 | +27円/台 | ○ |
3者で協議することで様々な目線で解決策を挙げることができた。各担当範囲の投資金額とリードタイムを出してもらい、生産技術で取りまとめを実施。それぞれの良い点・悪い点を共有し、お互いが納得する案を決定することができた。
上記を短期間に決定し、且つ全員が腹落ちして仕事を進められることがCE活動の良さであり、その音頭取りは生産技術の“決断させる力”の見せどころである。