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Ⅰ設備製作とは
設備計画、設備設計で検討してきた設備をつくるフェーズです。社内に「工機部」のような設備製作部門がある場合は社内で製作することもありますが、多くの場合、外部の設備メーカーに発注する形態がとられていると思います。また、前工程にあたる設備設計と合わせて設備メーカーに依頼する場合も多くあります。
生産技術を担う側からすると、設備製作は、自分の手から一旦離れ、待ちのフェーズにはなりますが、良い設備を製作してもらうためにできることは多数あります。反対に、設備製作者へのフォローが足りないと、想定外の設備が出来上がってしまうことも少なくありません。
ここでは、設備製作段階における生産技術のポイントを紹介していきます。
Ⅱ設備製作における
生産技術のポイント
ここでは、発注~フォローにおける3つのフェーズで抑えておくポイントを解説します。
01設備メーカーの選定・発注
得意なメーカーを探す
- 過去に類似設備を製作している場合は、その製作実績を調査し、設備メーカーを探していきます。社内に手配部署(購買部や資材部)があれば、そこに確認をすることも手段になります。
- 類似設備がない場合や、過去の設備に満足していない場合、新規の設備メーカーを探すことになりますが、ネット検索だけでなく、商社や関係先にも声をかけながら、実績のあるメーカーを探していけると良いでしょう。
メーカーを選定する
- メーカー選定においては、目指している品質・コストを実現できることが重要です。過去に取引がない場合は判断材料が少ないですが、過去に製作した設備を見せてもらったり、サンプルを提示してもらったりしながら、情報を補完していくことも重要です。
- また、社内の手配部署(購買部等)では、協力先を定期的に評価していることもあります。こうした情報を参考にしたうえで、ISO的視点をきちんと持っている点や、制作案件ごとに重視されるポイントを明確にして、選定ができると良いでしょう。
- さらに、品質・コストの実現を想定した「対応力」や「提案力」も判断材料になります。対応力としては、要望に対して迅速・柔軟に対応してもらえることや、報告・連絡・相談が丁寧であるといったコミュニケーションの側面と、設計から製作、試験運転の立会い、量産開始後のアフターフォローなどの業務プロセスの側面を確認できると良いでしょう。提案力としては、設備製作においてコスト削減に関する提案や、よりよい製作のためのアドバイス力などで評価していきます。
仕様書とともにイメージや意図を伝える
- 仕様書や図面に必要な情報を漏れなく記載しておくことはもちろん、イメージや意図などを丁寧に伝えていくことで認識を揃えていきます。仕様書の内容を読み合わせ、依頼内容の意図が伝わっているかを確認した上で、製作に入ってもらいましょう。
- 類似設備・類似製品の情報があれば、写真や動画を使ってイメージを伝達することも有効です。関連設備や付帯設備の情報を明示して、干渉の可能性や工事のラップなどの制約を伝えておくことも重要です。
02設備製作
製作時のフォロー
- スムーズに製作が進められるようなフォローや、現物確認をしていきます。定期的に連絡会を設け、現物や写真などを見ながら状況を確認していきます。
- 設備製作のフェーズは関係者が多くなるため、こまかな分担が曖昧になりがちです。生産技術側では、手配区分に応じた準備ができているかを確認していきます。長納期品があればその手配状況を確認するなど、スムーズな製作ができるようにフォローをしていきます。
- また、図面やデータに表現できていないものについても確認していく必要があります。配線・配管の取り回しやセンサの向きなどは要チェックポイントです。また、部品だけ発注して設備に組付けるような場合は、組付ける相手との寸法を、図面や現物で確認していく必要があります。
- さらに、現物確認においては、設備を使う人・保全する人の目線で見ることも重要です。ラインに設置した際の人や物の流れ、保全のしやすさなどは、現物を見て改めて気づくこともあるため、ぜひ取り入れたい視点です。
関係者間の調整・コントロール
- 設備製作は、設備メーカーだけでなく、設備の部品や制御盤、配管や配線施工業者など多くの関係者が参画します。据付工事を想定した役割分担など、このフェーズでライン立上げに向けて関係者をコントロールしていくことが、スムーズなライン立上げには欠かせません。
03納品・検収
出来上がった設備の確認
- 設備の納品・検収時には、立ち会いのもと、動作や品質を確認していきます。仕様書を十分に満足しているか、図面通りにできているか、製作時に発生した不具合の改修はすべて終わっているか、といった確認をする必要があります。
- また、検収条件に定めたドキュメント類(検査証明書や成績書)の内容についても、確認していきます。
スムーズな立上げを実現するために
- 納品・検収時の立会いでは、設備を使う人である製造現場の担当者や、保全担当者なども一緒に確認できると良いでしょう。
- 安全性の確認も重要です。機械安全のリスクアセスメント(構想設計段階で作成することが多い)に基づき、リスク低減策が実装されているかを現物で確認していきます。
- 立ち会い時の指摘事項については議事録に残し、必要に応じて追加の改修計画を作成します。より現場が使いやすい設備に改修していくことも、生産技術部門の役割のひとつです。